紙端国体劇場様の二次創作置き場。
2011/07/25 (Mon)12:42
お友達のリクエスト品!
渋にもうpったけど、こっちにも。
その人は、優しい人だった。
上司に振り回されるばっかりの自分を助けてくれて、労ってくれて、笑いかけてくれて。
最初に差し出されたコーヒーはひどく甘かったのを覚えてる。
「高崎」
少し眉尻を下げて、呆れたように困ったように笑って名前が呼ばれるのが好きだった。
いつの間にか顔を合わせれば休憩を、お昼ご飯を、一緒に食べるようになって。
会話が増えた。
知ってることも増えた。
好きなものとか、嫌いなもの、苦手なもの。
あんまりお酒に強くなくて、二人揃って上越上官に潰されて、呆れられて。
同じ頭痛を抱えて、御顔を見合わせた途端に吹き出した。
低くなっていた垣根。
胸の中に占める割合が徐々に大きくなっていた。
「おつかれさん」
顔を見れると嬉しい。
言葉を交わせれば一日頑張れる。
背中に触れた体温が離れるのが寂しいとか。
東京までくれば姿を探してしまう。
宇都宮にからかわれたけれど、治らない。
ゆっくりゆっくり積み重なった時間。
本当に少しずつだけど確実に積もった思い出。
いつの間にか、好きになってた。
それは当たり前のように高崎の胸に収まった感情。
「俺、あの人が好きだ」
ぽつり、呟けば相棒である宇都宮の呆れた視線とぶつかった。
思わず体を後ろに引けば「鈍感」と短く感想が返ってくる。
何か言う前に書類を取られた。
「ほら、行くならさっさとしなよね。まだ、今日はいるんじゃない?」
「え、あ、おぅ!」
トン、と背中を叩かれるまま、駆け出す。
振り返って「サンキューな!」と手を振るのを忘れない。
小さく手を振りかえされたのを確認して、走る速度を上げた。
普段なら敬遠しがちな上官のフロアを目指して。
顔を見たら伝えよう。
探す人の後ろ姿が見えた。
「山陽上官っ、山陽さん……!!」
「高崎?」
きょとん、と。
驚いた風に振り返って、いつものように笑ってくれる。
その両手をぎゅっと、握って口を開いた。
「あのっ、俺っっ」
貴方が、好きです。
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青い春。←
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