紙端国体劇場様の二次創作置き場。
2010/09/26 (Sun)20:07
過去話があるので!!
お互いに今でも好きなのに、すれ違いしかできなぃといい。。。
寒い。
つい二日前まではこの時間でも汗が噴き出すほどだったと言うのに。
「……」
ツナギ越しに腕を擦って空を見上げた。
濃紺の空に月が煌々と光る。
今日に限って鮮やかな黄色の半月。
今の彼を想像する色から視線を引き剥がし唇を噛んだ。
自分の知る彼はあの色を纏わない。
自分が好きな彼は、もういない。
「武蔵野、鉄道……」
「そんな路線はもう存在しない」
小さく零した言葉に返事があって弾かれたように振り返った。
月よりも黄色い髪、空よりも鮮やかな青。
目に痛いカラーリングで尊大に腕を組んで立つ姿があった。
「西武池袋」
忌々しげに名前を呼ぶ。
「何をしている」
片方しかない黄色の目に咎める色。
「別に」
ぷい、と視線を逸らせば聞こえた溜め息。
「そんな薄着で風邪などひいても知らんぞ」
近くなった声と肩にかかる重み。
遮られた寒さに肩を見れば柔らかそうなストールと鮮やかな青色が見えた。
じわり、滲み込んでくる温度が懐かしくて泣きたくなる。
感じられる温もりは本物なのに彼はもういない。
+++++
好きなのに好きだと言えないジレンマ。
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