紙端国体劇場様の二次創作置き場。
2011/05/24 (Tue)04:01
某所でのお題診断の結果より。
ハッピーエンドは見えませんでした。
「北陸、開通おめでとう」
「上越、先輩……」
式典が終わって必死に探していた人に、後ろから声を掛けられた。
弾かれたように振り返ればいつもと同じ笑顔。
「どうしたのさ。そんな幽霊でも見たような顔して」
くすくす、と笑って首を傾げる。
その身には、緑色の制服は纏っていない。
「せ、んぱ……」
「何で君が泣くの」
ぼろぼろと泣く北陸の頬に上越の手が伸ばされる。
困ったような、呆れたような顔で涙を拭ってやった。
「だ、て……」
「折角の開業日なんだから笑いなよ」
けれども、泣き止む事を忘れたように北陸は涙を流し続ける。
そ、とその頬を包み込んで上越は北陸の顔をのぞき込んだ。
「君がなくなら、僕が笑うよ」
しょうがない子だね、と優しく、だがどこか寂しげに上越は微笑んで見せた。
「せ、んぱ……じょ、えつ……せんぱい……っ」
同じくらいになってしまった体を抱きしめる。
好きです、好きです、と心の中で何度も繰り返した。
今となってはその言葉を告げる資格などないのに。
鏡の中に落としてきたのは、愛される資格のあった長野(ぼく)。
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もう僕は、君の先輩じゃなくなったんだよ。
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