紙端国体劇場様の二次創作置き場。
2011/01/21 (Fri)11:42
そのままです。
おとちゃんちのつるさんと、ひめちゃんちのいぬやまさん!
ダンッ、と壁に拳が叩きつけられる。
「っ」
思わず肩が揺れた。
両側に腕をつかれて、逃げられない。
間近の蒼い双眸は見たことがない感情を湛え淀んでいた。
「なんで、わかってくんないんすか」
感情の読めない声に胃が萎縮する感覚。
普段の軽薄な感じも好意的な色も見えずに、そこでようやく理解した。
自分がどれだけ彼に甘えていたのかを。
「つ、るまい」
「なんすか?」
呼んだ名前に返る反応もいつもと全然違う。
表情の抜け落ちた、けれどどこか泣きそうな顔に手を伸ばした。
「……」
触れた頬が冷たい。
びくりと震えた肩。
「ごめん、な」
「いぬやまさん……」
揺れる瞳。
震える唇が「好きです」と呟いた。
+++
貴方が好き過ぎてどうしたらいいかわからない。
「…………」
見上げた空が、あまりにもあいつの色に似ていたから。
とても顔が見たくなった。
思い立ったら抑えもきかず、自分の予定を思い返す。
取り出した携帯電話にメールを打った。
『19時に上小田井』ただそれだけ。
きっとあいつはくるだろう。
馬鹿みたいに嬉しそうな顔で。
「早く、」
会いにこい……
+++
犬山さんがデレた。
窓から見える空に光るオリオン。
くしゅ、と隣でしたくしゃみに慌てて体を引き寄せた。
「なんだ?」
「え?寒そうなんで、俺の体温のお裾分けっす」
迷惑そうな顔をしたものの沁みてくる温もりに逆らえなかったのか、それ以上何も言わなかった。
どさくさに紛れて握った手越しに想いも伝わればいいのに。
+++
終電後の車両の中で。
オレの決められた世界は、あの日あんたに会ったことで意味を成したんだ。
だから、オレはあんたのことしかいらない。
あんたの言葉しか聞かない。
あんたしか見えなくていい。
あんたが望むことがオレの望みだから。
あんたが望むならオレは何だってするさ。
あんたの存在がオレを今、この世界に繋ぎとめる。
+++
オレの世界は貴方。
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